令和3年第2回定例会閉会挨拶

令和3年第2回定例会の閉会にあたりましてご挨拶申し上げます。

長期間にわたるご審議誠にありがとうございました。「人権擁護委員の推薦につき意見を求めることについて」の人事案件1件、「篠栗町「町民の命を守るささぐりづくり」条例の制定について」をはじめ条例案3件、専決処分の承認を求めることについて1件をはじめ、令和3年度補正予算案6件の、上程いたしました10議案すべてにつきまして可決・承認いただきましたことに感謝いたします。

 

さて、本定例会においてご議論いただき、可決・承認いただきました10議案のなかで、議案第37号「篠栗町「町民の命を守るささぐりづくり」条例の制定について」は、本年3月の事件発覚後、継続的に議員の皆様と協議してまいりました、最重要案件ともいえるものでございました。ここで、本日に至るまでを少し振り返ってみたいと思います。

 

令和2年4月18日に発生した篠栗町での5歳児衰弱死事件は、私たち町民にとって大変衝撃的な事件でした。

令和3年3月2日の警察による保護責任者遺棄致死事件発表以降、新聞各紙、テレビでの報道等により、幼い子を死に至らしめた二人の容疑者の社会常識を超えた行動と犯罪性は、国民の耳目を集めました。

そうしたなか、3月4日開会の令和3年篠栗町議会第1回定例会全員協議会において、事件に至るまでの現場の対応等の経過を説明したうえで「今の時点では、警察によって事件の詳細が明らかになるのを待つほかない」と報告いたしました。

議員の皆さんから、「どこかでこの子を救う道があったのではないか」「議会として私たちは何かしなくていいのか」との声を多くいただきました。その後、報道機関の警察への取材により、私たちも事件の真相をより深く知ることとなりましたが、連日、町長である私自身に対しても、町内外から様々なご意見を電話や手紙、SNSなどで頂戴いたしました。

議会の皆様の発信、町内外から寄せられた様々なご意見を繰り返し咀嚼し、整理する過程で次のような思いに至りました。

今回の事件の場合もさることながら、DVやネグレクト、生活困窮、育児ノイローゼやうつ、あるいは家族が自ら命を絶つ場合など、幼くして命を絶たれるケースは様々考えられる。

町長や、町議会議員、ならびに行政職員は、今回の驚天動地の事件報道に埋もれなんとしている幼き子が「衰弱死」するに至った経緯をしっかりと検証し、二度とこうした幼い命が奪われることのないよう「町民の幼い命を守る」町民行動の指針を作るべきではないか

 

ついては、できるだけ早い時期に、これまで分野別に行動していた「青少年健全育成推進協議会」や「子育て世代包括支援センター」、新たに作る「篠栗町子ども家庭総合支援拠点」「地域学校協働活動」など、関係すると思われる組織を総動員して一緒に行動していくことのできるような「篠栗町の子どもの命を守る条例」を制定し、町民同士が、互いに篠栗町の子どもの命を守ることに真正面から向き合い、現在の希薄になった人間関係に新たなつながりを保ち続けることができるよう、子どもから大人、お年寄りまでの地域の人間関係を再構築すべきと考えました。

今回の不幸な事件を繰り返すことなく「篠栗町の幼い命をしっかり守る」ことができるよう、町民全体が互助の精神で行動をするための「篠栗町の幼い命をしっかり守る篠栗ウエイ(方式)」を、議会の皆様のご意見をしっかり賜りながら早期に実現したいと、3月16日の令和3年議会第1回定例会の閉会挨拶において発信いたしました。

 

そのような令和3年議会第1回定例会での経緯を経て、4月9日に議会全員協議会の開催をお願いいたしました。

議会全員協議会では、篠栗町のこどもの命を守るための行動を町議会の皆様とともにスタートするために、行動のための条例づくりや予算措置を行って「篠栗町の幼い命をしっかり守るささぐり方式」を実現したいとの方向性を、町から議会にご説明いたしました。その場において議員の皆様から数々の貴重なご意見を賜りました。

そして、篠栗町議会の総意として、「今回の案件は、篠栗町に居住する家族のなかの幼い命が失われたことに端を発したものではあるが、条例を制定し、新たな行動指針を決めるに当たっては、町民全体の大切な命を守る行動指針とすべきである」とのご意見をいただきました。

そのご意見を踏まえ、執行部において、検討、議論を重ね、命を守るべき対象を「子ども」だけでなく「すべての町民」とする方針に変え、篠栗町「町民の命を守るささぐりづくり」条例の素案を4月26日の全員協議会に諮問し、「町民の命を守るささぐりづくり」を進める上で重要となる住民、活動団体、事業者、議会、町長、町職員の責務と役割を定めることにより、みんなが主体となって協働し、町民の命を守るささぐりづくりの実現を目指すという方向性をご確認いただきました。

その後、4月30日からのパブリックコメントを経て、本定例会において議案第37号として上程いたしました。

議会におかれては、これまで、全員協議会で協議を重ねてきた重要な案件であるとの認識から、慣例による条例案の委員会付託は行わず、全員で協議する特別委員会の設置を開会日に決定し、6月15日に同委員会でご審議いただき、本日の本会議において可決されました。

これまで3か月間にわたる議員の皆様の熱心なご議論に敬意を表しますとともに、改めて、議案第37号「篠栗町「町民の命を守るささぐりづくり」条例」を可決いただきましたことに感謝申し上げます。どうもありがとうございました。

 

今日、これからが、新たな篠栗町として踏み出す第一歩です。条例にうたわれたそれぞれの役割と責務を日常の中でしっかりと果たしてまいりましょう。

住民一人ひとりが、あと一歩を踏み出して、周りのみんなと繋がりをもち、会話を重ねて関係性を深め、必ずや、地域に誇れる篠栗町の姿になるよう町民全体で努力して参りましょう。

今後とも議会の皆様におかれましては、こうした思いの実現に向けてともに進んでいただきますようお願い申し上げ、令和3年篠栗町議会第2回定例会閉会の挨拶といたします。長期間にわたるご審議誠に有り難うございました。

 

(令和3年6月18日)

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