篠栗町の子どもの命を守るための行動を -篠栗町議会の皆様とともに-

令和2年4月18日に発生した篠栗町での5歳児衰弱死事件は、私たち町民にとって大変衝撃的な事件でした。改めて、食事を十分に与えられず衰弱死した男児に心からの哀悼の意を表します。

令和3年3月2日の警察による保護責任者遺棄致死事件発表以降、新聞各紙、テレビでの報道等は、幼い子を死に至らしめた二人の容疑者の社会常識を超えた行動と犯罪性が国民の耳目を集めた2週間でした。

篠栗町(行政)としては、3月4日開会の令和3年篠栗町議会第1回定例会全員協議会のなかで、事件に至るまでの、現場の対応等の経過を説明したうえで「今の時点では警察によって事件の詳細が明らかになるのを待つほかはない」と報告いたしました。しかし、議員の皆様から、幼子が衰弱死にいたった経緯を確認するなかで、「どこかでこの子を救う道があったのではないか」「議会として私たちは何かしなくていいのか」との声を多くいただきました。

その後、報道機関の警察への取材により、私たちも事件の真相をより深く知ることとなりましたが、連日、町長である私自身に対しても、町内外から様々なご意見を電話や手紙、SNSなどで頂戴いたしました。

そうしたなか、議会の皆様の発信、町内外から寄せられた様々なご意見を繰り返し咀嚼し、整理する過程でつぎのような思いに至りました。

 

今回の事件もさることながら、DVやネグレクト、生活困窮、育児ノイローゼや鬱、あるいは家族が自ら命を絶つ場合など、幼くして命を絶たれるケースは様々考えられる。

町長や、町議会議員、ならびに行政職員は、「今回の驚天動地の事件報道に埋もれなんとしている、幼き子が「衰弱死」するに至った経緯をしっかりと検証し、二度とこうした幼い命が奪われることのないよう「町民の幼い命を守る」町民行動の指針を作るべきではないか。」

 

ついては、できるだけ早い時期に、これまで分野別に行動していた、「青少年健全育成推進協議会」や「子育て世代包括支援センター」、新たに作る「篠栗町子ども家庭総合支援拠点」「地域学校協働活動」など、関係すると思われる組織を総動員して一緒に行動していくことのできるような、「篠栗町の子どもの命を守る条例」を制定し、町民同士が、互いに篠栗町の子どもの命を守ることに真正面から向き合い、現在の希薄になった人間関係に新たなつながりを保ち続けることができるよう、子どもからお年寄りまでの地域の人間関係を再構築すべきと考えます。

それこそが、今回の不幸な事件を繰り返さない、「篠栗町の幼い命をしっかり守る」ための、町民全体が互助の精神で行動をする篠栗方式となるのではないかと思うからです。

今後、議会の皆様のご意見をしっかり賜り、早期に「篠栗町の幼い命をしっかり守る篠栗ウエイ(方式)」を実現すべくここに発信いたします。

 

                                                                                                                 令和3年3月16日

                                                                                                                 篠栗町長 三浦 正