「損害賠償請求住民訴訟控訴事件」に対する棄却判決の公表

「損害賠償請求住民訴訟控訴事件」に対する棄却判決

令和3年度住民監査請求に係る住民訴訟(2件)について、令和5年4月19日、福岡地方裁判所の棄却判決が出ました。しかしながら原告は判決不服とし、令和5年5月2日に町が控訴されました。令和5年11月22日福岡高等裁判所より判決が出され、控訴人の請求はいずれも棄却されました。

(敬称略)

1 事件番号 令和5年(行コ)第40号

2 事件名 損害賠償請求住民訴訟控訴事件

3 控訴人  横山 和輝

4 被控訴人 篠栗町長 三浦 正

5 事件の概要

本件は、篠栗町民である控訴人が、篠栗北地区産業団地内の事業用地売買契約において売買代金の遅延損害金に関する条項を定めなかったこと等が財産の管理を怠る違法なものであって、当時の篠栗町長である三浦町長には不法行為又は善管注意義務違反の債務不履行があるとして、地方自治法第242条の2第1項第4号に基づき、三浦町長に対する損害賠償請求をすることを求める住民訴訟について、福岡地方裁判所の棄却判決が出ましたが、控訴人が判決不服とし控訴されたものです。

6 判決

(主文)

1 本件控訴を棄却する。

2 控訴費用は控訴人の負担とする。

(当裁判所の判断)

     1 当裁判所も、控訴人の被控訴人に対する請求は理由がないと判断する。その理由は、以下のとおり訂正するほか、原判決「事実及び理由」欄の第3に記載のとおりであるから、これを引用する。

※以下一部抜粋

(2)控訴人は、議会において、契約や財産の処分内容を正確に分析して十分な審議を行うため、契約書の条項や処分行為の内容自体を検討の素材として議決を得るべきであり、本件では延滞金条項の存否について、議会に対して説明したうえで議決を得るべきであったと主張する。しかしながら、地方自治法96条1項8号は、議会の権限の一つとしての議決の対象を一般的に定めた規定であって、契約書の条項や処分行為の内容自体を検討の素材として議決を得るべきことまで定めているとは認められず、前記のとおり、本件各契約において遅延損害金に関する条項を設けなかったことが裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとはいえないから、本件において同号の議決がなかったとは認められず、主張は採用できない。

(6)法令の規定は、専ら一般的抽象的な見地に立って普通地方公共団体の締結する契約の適正を図ることを目的として契約の締結方法について規制を加えるものと解されるから、法令に違反して契約が締結されたということから直ちにその契約の効力を全面的に否定しなければならないとまでいうことは相当でなく、他方、契約の相手方にとっては、普通地方公共団体の契約担当者の判断が後に誤りであるとされ当該契約が違法とされた場合にその私法上の効力が当然に無効であると解するならば、契約の相手方において不測の損害を被ることにもなりかねず相当とはいえないからである。

2 その他、控訴人は、控訴理由として弁論主義違反、釈明権の行使違反、審理不尽をあげるが、準備書面等の弁論に顕出された資料を証拠原因として、弁論の全趣旨のみで事実認定をすることがあっても弁論主義に反しないし、控訴人が証拠(資料)の提出を求めたのに対して、裁判所が被控訴人に十分な証拠(資料)を提出するよう促さなかったという点は、結局、証拠の取捨選択や事実認定の問題であって、釈明権の行使違反、審理不尽に該当しないから、いずれも採用できない。

3 よって、控訴人の請求を棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないか ら、これを棄却することとし、主文のとおり判決する。

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