住民訴訟判決の公表

「損害賠償請求住民訴訟」棄却判決

令和3年度住民監査請求に係る住民訴訟(2件)について、4月19日、福岡地方裁判所の判決が出ました。

(敬称略)

1 事件番号 令和3年(行ウ)第52号、第57号

2 事件名 損害賠償請求住民訴訟事件

3 原告 篠栗町大字乙犬 横山 和輝

4 被告 篠栗町長 三浦 正

5 事件の概要

本件は、篠栗町民である原告が、篠栗北地区産業団地内の事業用地売買契約において売買代金の遅延損害金に関する条項を定めなかったこと等が財産の管理を怠る違法なものであって、当時の篠栗町長である三浦町長には不法行為又は善管注意義務違反の債務不履行があるとして、地方自治法第242条の2第1項第4号に基づき、三浦町長に対する損害賠償請求をすることを求める住民訴訟です。

6 判決

(主文)

1 原告の請求をいずれも棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

(要旨)

ア 遅延損害金に関する条項を設けずに本件各契約又は本件各覚書を締結したこと及びこれらの締結後、当該条項を追加しなかったことについて、本件各契約の締結及びその後の本件各覚書の締結に際し、遅延損害金に関する条項を設けなかった三浦町長の判断が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものということはできない。したがって、原告の主張は採用することができない。

イ 議会の議決を得ずに本件各覚書を締結したことについて、地方自治法第96条第1項第12号の適用はなく、議会の議決を得る必要はないから、三浦町長がこれを得なかった違法があるとはいえない。したがって、原告の主張は採用することができない。

ウ 本件各覚書は、地方自治法第240条第3項、地方自治法施行令第171条の6及び篠栗町財務規則所定の要件、手続を満たしているかについて、地方自治法施行令第171条の6第1項第2号又は第3号に該当するとして、事業用地売買契約の相手方との間で本件各覚書を締結することとした三浦町長の判断は、その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとはいえない。本件各覚書によって本件各契約に係る売買残代金の履行期限を延長したことは、地方自治法第240条第3項、地方自治法施行令第171条の6の要件を満たしているというべきである。本件各覚書が篠栗町財務規則第213条違反により私法上の無効になるとはいえず、事業用地売買契約の相手方に対して本件各契約に基づく売買残代金に係る遅延損害金を請求しなかった三浦町長の行為をもって、違法ということはできない。したがって、原告の主張は採用することができない。

エ 事業用地売買契約の相手方に対し、残代金の支払の督促及び請求を怠ったことについて、本件各契約における売買代金の履行期限は、本件各覚書によって有効に延長されているから、三浦町長が、事業用地売買契約の相手方に対し、残代金の支払の督促及び請求を怠ったとは認められない。したがって、原告の主張は採用することができない。

オ 篠栗町が、事業用地売買契約の相手方から残代金及び金利相当額を受領した時点で確定した遅延損害金を請求せず、議会の議決を得ずにこれを放棄したことについて、本件各契約における売買代金の履行期限は、本件各覚書によって有効に延長されているから、篠栗町が事業用地売買契約の相手方から残代金及び金利相当額を受領した時点で、遅延損害金は発生したとはいえない。したがって、原告の主張は、その前提を欠いており、採用することができない。

(結語)

よって、原告の請求は、その余の点を検討するまでもなく、いずれも理由がないからこれらを棄却することとし、主文のとおり判決する。

 

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