揺るぎ岩[千石岩(せんごくいわ)]


揺るぎ岩イラスト

霊峰若杉山(標高681メートル)は、篠栗町の南、須恵町との町境に聳(そび)え立ち、古来から竃山(かまどやま)の山伏の聖域として、数百の僧坊(そうぼう)があったと言われています。
この若杉山の中腹に「古堂(ふるどう)」と言われる平坦な場所があり、そこには昔「大講堂」が建てられ、多くの真言宗の僧侶が修行をしたと伝えられています。
その「古堂」の奥の鬱蒼(うっそう)とした場所に、今でも「揺るぎ岩(千石岩)」と言われる背丈を越えるほどの大きな岩があります。
この岩は頂点に立っても根元が見えないほど絶壁になっており、その昔この岩に一匹の鬼が住みついて、里人に悪さをしたり僧侶の修行を邪魔したりしていたと言われています。
この「揺るぎ岩」について昔から次のような話が伝えられています。
平安時代の初頭、唐から帰国された空海上人(しょうにん)(弘法大師)は、若杉山の奥の院に籠(こ)もられて、真言の秘法を修めながら都に帰る日を待っておられました。
あるとき、空海上人が「古堂」で修行をしていると、その悪さをする鬼が上人に力比べをしようと申し込みました。すると上人はその鬼に向かってこう言われました。
「お前はその千石岩を揺るがせるか? 最初に私がこの岩を揺るがすからよく見ていなさい」とその岩によじ登られ、右手で岩の頂点をつかみ、
「えいや、えいや」と揺すぶると、あら不思議、
「ゴットン、ゴットン」と音を響かせ前後に大きく揺れ始めました。
これを見た鬼は、「よし、俺も負けるもんか」と千石岩の頂点をつかみ、「よいしょ、よいしょ」と揺さぶりますが、びくともしません。
「よおし、今度こそは」と両手に唾を付けて一気に押しました。すると一気に押した拍子に過って絶壁の岩の根元に落ちて気を失ってしまいました。
上人の看護でやっと気付いた鬼は、それ以来悪事を止めて上人の弟子になったと言われています。
揺るぎ岩は、少し前まで揺さぶり動かすことができたそうです。

『篠栗町誌(民俗編)』「揺ぎ岩」より


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