平成24年 第1回定例会挨拶(平成24年度施政方針)


皆さん、おはようございます。
本日、平成24年第1回の定例会を招集いたしましたところ、公私共ご多忙の中、ご出席賜り誠にありがとうございました。
3月に冷たい雨の日が続きましたが、昨日今日と幾分暖かくなってまいりました。春はもうすぐそこという日和であります。

2011年3月11日に発生したマグニチュード9.0という超大型地震とそれによる巨大津波。この東日本大震災により多くの貴い命と穏やかな暮らしやそれぞれの地域で積み重ねられてきた歴史が一瞬にして奪われました。
追い打ちをかけた福島第一原子力発電所爆発事故。この事故により、自治体のよりどころともいえる故郷の土地が奪われ、今なお戻ることもできずに避難生活を強いられている市町村がある現実を目の当たりにすると、高度な技術やそれをもとに発展してきた近代文明の限界を突き付けられたような気さえいたします。
この東日本大震災と福島第一原発の事故からもうすぐ1年となり、昨日もテレビ各局ともそれぞれの視点から特集を組んでいました。
国の復興庁もでき、3次にわたる2011年度震災復興予算は15兆2,600億円であります。それに2012年度予算を加えますと、総額18.5兆円になります。野田首相は「復興費用に天井はない」と発言していたこともあり、今後数年度にわたって復興に向けた予算措置が続くと考えられます。
昨日のニュースでは、こうした財源が、地元産業の復興支援にうまく回りきっていないといった内容のものもありました。明治維新の殖産興業の思いで、もう一段、国、県、基礎自治体が踏み込んだ取り組みをするか、あるいは、民間活力に期待し、復興を産業界に委託していくかの選択を迫られている感がありました。

一方で、当然ながら財源確保のための増税が論議されております。
全国民が今回の震災の痛みを分かち合い被災地の早期復興を願うという気持ちであれば、粛々と国の決定を受け入れていく覚悟が必要であろうと思います。
また、全国の原子力発電所が停止状態にあるなかで、火力発電所の燃料費がかさみ、電気料金に上乗せされるという事態にいたっております。当分は火力発電で原発停止の不足分を補うにせよ、太陽光や風力、地熱など、再生エネルギーへのシフトを起こし、それに係る新しい産業を活性化していかなければならないと考えます。

月刊ガバナンス3月号に「自治体にとっての3.11」という特集が組まれており、そのなかで岩手県の達増(たっそ)拓也知事が次のように言っています。
「地方自治の本旨について、住民自治、団体自治という形式面の定義はあるが、その中身は書かれていない。私なりに解釈すると、それは、『自立と共生』だ。自立と共生ができれば、そこに自治が実現する。大震災で、我々は必要に迫られて、そうしなければいけない局面に立ち至り、日々、『これが地方自治だ』と思いながら仕事をしている。自治の原点は、非常事態対応にある。そこで、普段意識していないような願いや意志が強烈に出てくる。『住民の命を守る』から始まって、復興に専念することでいい自治を創っていく。それが自治体間連携の中で、日本全体の自治として発展し、軌道に乗っていければ日本は非常にいい国になるのではないか。」
私も全く同感であります。

篠栗町においても平成21年7月に2人の人命を失う大きな土砂災害が起こりました。
その後、定期的な防災訓練を行うとともに、区ごとの防災組織の立ち上げ等に努力いただいているところでありますが、2月29日に行いました、「自主防災組織ワークショップ―図上訓練」では、6つのモデル地区で豪雨による浸水被害要援護者支援を想定した避難経路の確保等についての訓練でありました。この訓練は大変有効であり、各区から大勢の参加のもと熱心に取り組まれてありました。
まさに、わが地域の「住民の命を守るために」「自立と共生」の意識を持って取り組もうとしている姿であると確信したところであります。今後もこうした訓練等をとおして、地域の絆をさらに深める努力をしてまいりたいと考えます。

では、24年度施政方針について述べさせていただきます。
ここ数年の私の自治への思いは一貫しております。
平成22年第1回定例会で私は、「わが町はわが住民のためのものであるという大前提があり、私たちも町民あっての行政であり、議会であることを片時も忘れることがあってはならない。」と申し上げました。そうしたことを踏まえて、「私たちは未来に続く持続可能(サスティナブル)なまちづくりを行っていかなければならない。そのために、近い将来、篠栗町の憲法ともいえる『まちづくり基本条例』を住民の皆さんとともに作り上げる必要がある。」と申し上げました。
そして昨年、私は、新年度を前に再度、「未来に続く持続可能なまちづくり」とは何かを問い直したとき、「自分たちの町は自分たちの手でという自治意識による行動とその結果の積み重ねである。」との思いに至ったと申し上げました。
今年はさらにその思いを具体的にしていく年と考えております。 国の分権改革の目玉に「新しい公共」の概念があります。 私は、これまでの「自分たちの町は自分たちの手でという自治意識の行動とその結果の積み重ね」という思いから一歩進めて、「行動主体となる人たちが自ら汗をかくことを喜びに思う実践の積み重ねとしての未来に続く持続可能なまちづくり」に取り組んでまいりたいと考えております。

平成22年秋にグランドオープンした森林セラピー基地の取り組みは、地元の観光協会や商工会を中心に大きく花開こうとしております。一つの取り組みがきっかけで各方面に波紋が広がり、自分たちにこんなことができるのではないか、こんな新しい活動をやってみようとの思いが、生き生きと芽生えている現在の状況を大事にして、さらに大きくその輪を広げ、170年以上にわたって続いているお遍路の町篠栗と合体した個性ある町づくりの創造に努めてまいりたいと考えます。
また、地道に取り組みを続けております「協働のまちづくり補助事業」や「介護ボランティア制度」をさらに前進することにより行動主体の住民の皆さんが何よりその行動に喜びを感じていただけるような後押しをしてまいりたいと考えます。
篠栗町の10年後20年後を見据え、篠栗町を愛し、篠栗町に住み続ける皆さんのためにしっかりとした「自治」を目指します。
どうぞよろしくお願いいたします。

では、平成24年度事業について課ごとで取り組もうとしているそのポイントをご説明いたします。


  1. 総務費

    まず、総務費では、総務課、財政課、まちづくり課、会計課、税務課、住民課等が関わっております。
    総務課では、人件費のさらなる削減と昨今の業務の複雑さからくる職員のメンタル疾患のケアと予防、臨時職員の効率的な運用等を中心に取り組んでまいります。
    また、町民の防災意識をさらに高めるため、自主防災組織の設立・活性化に向けた取り組み、防災行政無線デジタル化と難聴地域解消に向けた取り組みを進めます。 これまで区長や各区の役員の皆さんに大変ご苦労をおかけしてまいりましたが、各区の活動を下支えする地域密着型の職員体制の構築にも取り組むことを検討いたします。
    財政課では、予算の一元管理をさらに推進することで無駄を省き、より効果的に予算執行を行えるよう努力してまいります。
    住民基本システムにつきましては、これまでも経費を最小限に食い止めつつ更新を行ってまいりました。 今後もより効率的にバージョンアップを図ってまいります。また、 平成24年度も未利用町有地の売却を進め、歳入増加を目指します。
    プリペイドカードで対応しております立体駐車場利用システムについては、今後検討を行い、SUGOCA(スゴカ)などの一般のプリペイドカード対応へと移行し、より利便性を高め稼働率アップに努めたいと考えております。 具体的な案がまとまりましたら、議会に諮りたいと考えております。
    まちづくり課においては、平成25年度からの新総合計画の作成を中心に、校区ごとのまちづくりのさらなる推進を図ります。
    住民が主体となって活動する中に喜びを感じようと、各地で取り組み始められている「新しい公共」の考え方を取り入れ、職員への啓発、住民協働のさらなる推進を行ってまいります。 また、これまで以上に重要性を増してきたホームページをさらに身近な情報発信ツールとなるよう全面的にリニューアルいたします。
    会計課におきましては、平成24年度から住民の皆さんの利便性を高めるために、諸税のコンビニ収納を開始します。 また、行政内部事務のマニュアル化を進め、各関係者への支払等がスムーズに行われるよう事務改善を目指します。
    税務課では、徴収率アップに向けて徴収業務のさらなる推進を目指してまいります。
    住民課では、昨年からスタートした住民票の電話予約による時間外交付事務は、町民の皆さんから大変好評でした。 今年度も窓口・届出事務における業務の迅速化・正確性の確保を第一に、行き届いたサービスを目指します。
     
  2. 民生費・衛生費

    民生費、衛生費では福祉環境課、国保健康課、こども育成課、栗の子保育園が所管しております。
    福祉環境課では、平成22年度から実施されている子ども手当が、毎年支給額の変更があるため、正確な支払い事務に努めます。 また、国、県とともに進める児童福祉関係の補助の充実度合いと照らし合わせながら、これまで町独自で進めてまいりました母子家庭援助金及び育児給付金制度の存廃を検討してまいります。 併せて、日ごろから大変ご苦労いただいております、民生委員児童委員協議会、保護司会や人権擁護委員の皆さんと更なる連携を図りながらそれぞれの取り組みの支援を行ってまいります。
    また、一定の補助を行っております篠栗町シルバー人材センターに対し、より効果的な事業運営を指導するとともに、住民福祉に関する各方面での活動を行っていただいております社会福祉協議会とともに住民福祉の増進に努めてまいります。
    また、生活環境分野では、役場前のストックヤードの利用が大変多く、収納スペースが足りない状況も発生していることから増設をいたします。 一般廃棄物の収集運搬業務につきましては、平成24年1月から2業者制に移行し、一業者の独占状態から一歩前進いたしました。 今後は、住民の皆さんが快適に暮らすことのできるよう、さらに業者の指導を行ってまいりたいと考えております。
    須恵町外二ヶ町清掃施設組合の今後の運営につきましては、平成29年度という一応の区切りがございます。 今後、議会、関係住民の皆さんや2ヶ町の町長や組合議会と協議しながら平成30年度以降の運営について平成24年度中に方向性を出すことができればと考えております。
    また、し尿処理につきましては、平成20年4月から、それまでの福岡市への処理委託から須恵町外二ヶ町清掃施設組合が運営する酒水園に処理委託を変更し、キロリットル当たりの処理負担金を大幅に削減することができました。 とはいえ、昭和57年度から稼働しております本施設は、老朽化が著しく、いずれ施設の建替えが必要となります。 公共下水道の普及から、し尿・浄化槽汚泥の量が減少し、施設自体は酒水園の半分の規模で、かつ公共下水に流す中間処理的な施設となる予定ですが、須恵町、粕屋町と検討に入りたいと考えております。
    町営住宅につきましては、本定例会で条例の一部改正を行っておりますが、老朽化している住宅の現状を踏まえ、今後のあり方を検討する時期に来ていると考えております。
    次に国保健康課所管の各種政策について申し上げます。
    まず、老人福祉、障害者福祉関連につきましては、今年度は昨年同様の補助を行い、皆さんが住みやすいと感じていただけるよう事業を継続してまいります。
    介護保険事業につきましては、これまで福岡県介護保険広域連合の各支部において展開しておりました地域包括支援センター業務を、本来の姿であります各市町村において設置することとなりました。 これにより町に保健師、社会福祉士、主任ケアマネージャーを配置し、高齢者への総合的な生活支援及び介護予防のためにそれぞれが中心になって取り組むこととなりました。 篠栗町は、福岡県介護保険広域連合傘下の33自治体の中で、最も介護認定率が低い、健康なお年寄りが多い自治体であります。 今後は町に設置した地域包括支援センターにおいて、介護予防のきめ細かなサービスを行い、介護のいらない高齢者世帯を増やしてまいりたいと考えます。 こうした取り組みが将来において医療費の削減にも繋がるものと考えております。
    また、医療費削減の取り組みとして、保健師を増員して町内の高齢者の健康管理を細やかに把握することも検討しております。 新しい保健師を雇用する人件費は増加しますが、高度医療を必要とするような高齢者が少しでも減少すれば、医療費の伸びは抑えられ、十分な費用対効果は現れると考えます。 国保健康課において、こうした「町民健康管理プラン」の実施に向けたシミュレーションを行いまして、効果あると判断できれば具体的に提案してまいりたいと考えます。
    各種検診や予防接種につきましては、篠栗町は他の自治体に先行して様々な取り組みを行ってまいりました。 今年度も国の制度に沿った、各種検診と予防接種を実施してまいります。 こうした取り組みは何よりも受診率が向上して初めて効果の上がるものであります。 受診率アップへの取り組みを強化いたします。
    こども育成課では、平成24年度から新たに地方裁量型認定こども園運営事業費補助が、国、県とともにスタートいたします。 篠栗町には2園の認定こども園があり、保育の充実と待機児童解消に大きく寄与するものと考えます。 就労人口減少社会において、母親の労働力が見直されております。 安心して母親が就労現場に復帰できるようにするための待機児童の解消は全国的な社会問題であります。 篠栗町におきましても地域で面倒を見る体制の構築等も含めて、今後継続的な課題として待機児童解消に向けた取り組みを継続してまいります。
     
  3. 農林水産業費・商工費

    次に農林水産業費、商工費の所管であります産業観光課の取り組みについて申し上げます。
    まず、農業分野では、耕作放棄地拡大防止対策として山間地域の農地にコンニャクを試験的に作付けする事業を行います。 この取り組みは農産経営の観点から、有害鳥獣を回避でき、かつ労働力をさほど要しない作物として試験作付けするものであります。 今後は蕎麦の作付けにも取り組んでまいりたいと考えます。
    次に「ささぐり緑の改革プラン」として粗放竹林の再生計画に着手いたします。 これまでボランティアによる竹林整備を行ってまいりましたが、今後は、遊歩道に近い粗放竹林の面的整備を行い、広葉樹を植栽しようというもので、町行造林として実施いたします。 これまで県の森林環境税を利用した荒廃森林再生事業と併せて、山を守り環境を整備するための長期的な取り組みであります。 また県単事業としての蛇谷線林道改良事業を継続的に進めてまいります。
    御承知のように篠栗町は7割を山々で囲まれた景観豊かな町であります。 この素晴らしい環境を守るためには、平野だけの町には必要のない、林業費の歳出は不可欠であります。 本年度は1億4,600万円余を計上しておりますが、こうした歳出は継続的に必要であり、篠栗町を愛し、篠栗町に住む住民の皆さんの深い理解のもとに計上できるものであると考えます。 今後もこの素晴らしい環境を守るために継続して一定程度の財源を投入しながら取り組んでまいります。
    次に商工部門ですが、平成24年度におきましても、「春らんまんハイキング」「森林セラピー基地関連イベント」「九州森林スポーツフェスタ」の3イベントは、商工会や観光協会等と連携し、新しい試みも取り入れながら引き続き開催いたします。
    平成24年度後半には森林セラピー基地のグランドオープンから3年目を迎えますが、おかげでテレビやラジオ、新聞、雑誌等各方面のメディアで取り上げられております。 森の案内人を中心に据えた地道な活動の成果でありますが、県内3基地や九州9基地と連携してさらに新鮮な情報を発信して人を呼び込むきっかけづくりをしてまいりたいと考えます。
    施設整備事業といたしましては、新吉野公園公衆トイレ建設、中町やベンタナヒルズ区の健康広場建設事業に取り組みます。また、商工会・観光協会とさらに連携を深めるため、滞在型観光地篠栗の定着化を図るための協議を進めます。
     
  4. 土木費

    次に土木費について述べます。 土木費は建設課が所管しておりますが、平成24年度の主な工事は、下町若杉線新規改良工事の完成、乙犬切通線・乙犬中園線改良工事の完成、尾仲、乙犬地区水路災害対策事業の取り組み等であります。 このほか側溝整備や道路維持補修工事等につきましては、例年通りの取り組みを行うこととしております。
     
  5. 教育費

    教育費は学校教育課、社会教育課が所管しております。
    学校教育課では、来年度、北勢門小学校の校舎外壁改修工事を始め中学校の扇風機設置工事等を行い、小中学生の学ぶための環境整備をさらに進めます。 また小・中学校の不登校対策としてのスクールソーシャルワーカーの配置を継続いたします。 また、幼稚園における3歳児保育を篠栗幼稚園の空き教室を使って実施します。
    社会教育課では、社会体育館の底地が部分的に隆起し、柔道場等に凹凸があることから、スポーツ振興くじ助成金を活用して大規模改修工事を行います。 また、クリエイト篠栗の大ホール音響設備が老朽化により、片方のスピーカーが全く機能しなくなったことから、音響設備を全面改修いたします。 貸館対応する施設として緊急に対応しなければならない工事であります。 クリエイト篠栗は、平成5年に完成し、すでに19年が経過しており今後も施設内の各部の改修や設備更新が必要になると思われます。
     
  6. 上下水道

    上下水道課では水道事業部門で平成24年度は千代田団地内配水管更新を行います。 また、和田橋水管橋の水漏れ改良工事を行います。また、流域公共下水事業特別会計の公営企業会計の導入に向けた移行作業を行います。

以上それぞれの費目に応じた各課での平成24年度取組みについて説明いたしました。


(平成24年3月8日)